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薬をあげる時に要注意!猫の食道炎

はじめに

今回のテーマは『薬をあげる時に要注意!猫の食道炎』についてです。

猫にお薬をあげるとき、どのようにしてあげているでしょうか?
何かおやつに包んだり、お薬だけを口の中に入れてますか?
薬だけを口の中に入れて飲み込ませている場合は食道炎のリスクが高まります。

今回は猫にお薬をあげる時の注意点についてお話ししていきます。

食道炎とは

ではまず、食道炎についてお話ししていきます。

食道炎と聞くとどのようなイメージがありますでしょうか?
人だと、よくあるのがストレスやお酒の飲み過ぎで、胃酸が食道に逆流して、食道が荒れてしまう逆流性食道炎です。

では動物ではどのような食道炎の原因があるのでしょうか?
食道炎の原因と症状、治療法について簡単にお話しします。

食道炎の原因

食道炎の原因についてですが、
犬や猫で起こる食道炎の原因はこういった逆流性食道炎の他にいくつかあり、以下のようなものが挙げられます。

  • 腐食性物質(ボタン電池など)の誤食
  • 慢性的に続いている嘔吐
  • 食道内異物
  • 錠剤が食道に引っかかるもの

これらが挙げられます。
特に猫で注意しないといけないのが、5番目の錠剤によるものです。

錠剤で食道炎って意外と思うかもしれません。
しかし、猫では割と多い原因となります。
食道の病気を持つ33匹の猫を調べた研究では、5匹は先天的な奇形であり、残りの28匹中の6匹は錠剤投与による食道炎だったという報告があります。
食道疾患を抱える約20%の猫が錠剤によるものだと考えると割りと多い気がしますよね?

こんな、猫で多い食道炎ですが、食道炎になると一体どのような症状が出てくるのでしょうか?

食道炎の症状

食道炎の症状としてよくあるのが、
食欲が落ちたりとか、食べ物を飲み込みづらそうにするとか、よだれが出るとか咳をするようになるとかこのような症状が出てくることがあります。

お薬を飲ませている子でこういった症状が出ている場合は、食道炎の可能性もあるので注意しましょう。

食道炎の治療法

最後は治療法です。
食道炎の治療はお薬で管理する内科療法全身麻酔をかけて治療する外科療法があります。

内科療法

軽度から中程度の食道炎の場合は内科療法が選択されることが多く、
胃酸を抑えるお薬(プロトンポンプ阻害剤)や粘膜を保護するお薬(スクラルファート)、後は胃腸を動かすお薬(消化管運動薬)などを使って治療を進めていきます。

外科療法

一方で重度の食道炎で、食道自体が狭くなっている症例では外科療法が選択されます。

具体的にどのような治療をするかというと、バルーン拡張術といって、
炎症によって狭くなった食道をバルーンで膨らませるよう治療を施します。
食道炎が悪化すると、食道が狭くなります。

そこで、狭くなった食道を広げるために内視鏡を食道内に挿入し、狭くなっている場所まで進めます。
そこにバルーンカテーテルを誘導し、バルーンを膨らまします。

この処置は一回で治ることは少なく、2週間おきぐらいの間隔で数回広げてあげる必要があります。

投薬時に注意すべきこと

猫にお薬をあげる時は注意が必要です。
なぜかというと、
猫はあげたお薬が食道に引っかかってしまって、そこで食道炎を起こすことがあるからです。

特に注意すべきは抗生剤(ドキシサイクリン)です。
抗生剤投与時の食道炎の報告が圧倒的に多く、投薬後に吐く回数が増えたり、
よだれがたくさん出るようになった際は食道炎を起こしている可能性が高くなります。

犬と猫の食道

犬ではこういった投薬時の食道炎というのはあまり起きないと言われています。
これにはどうやら犬と猫での食道の解剖学的な違いが関係していると考えられています。

食道は筋肉の塊で、骨がありません。
食べ物が入った来た時、食道は波打つように動いて、食べ物を胃へを送り込みます。

そういった動きに関わっている筋肉が、横紋筋と呼ばれる筋肉平滑筋と呼ばれる筋肉です。
食道の筋肉は犬と猫とで構成が若干異なります。
犬の食道は全て横紋筋であるのに対し、猫の食道は上の2/3が横紋筋で、下の1/3が平滑筋になります。

平滑筋は横紋筋と比較し、少ないエネルギーで長時間動かすことができるのですが、食べ物を下に送り出すための収縮力が弱いのが特徴です。
猫の食道は1/3が平滑筋となっていますので、食べ物や薬などを胃へ送り出す収縮力が弱く、引っかかってしまうのではないかと言われています。

具体的な対策方法

では次はこういった薬が引っかかってしまうのをどうやって防ぐのか、その対策方法についてお話ししていきます。

対策方法はとてもシンプルです。
それは薬だけであげないということです。

薬をあげる時は必ず、お水を後で飲ませたり、チュールやウェットフードに包むなどして投薬してあげましょう。
これをするだけで、食道炎のリスクは大幅に下げることができます。

最後に

では今回のまとめになります。

まとめ
  • 猫は錠剤投与による食道炎が起こりやすい
  • 食欲が落ちたり、飲み込みづらそうにする場合は注意
  • 治療法は内科療法と外科療法がある
  • 猫の食道は解剖学的に薬が引っかかりやすい
  • 投薬時はお水やチュールを使って食道炎を予防する

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