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犬の混合ワクチン徹底解説:最新のWSAVAガイドラインに基づく情報

オタ福
愛犬の健康を守るために欠かせない予防医療のひとつが、混合ワクチンの接種です。
しかし、混合ワクチンにはいくつかの種類があり、それぞれ予防できる病気や必要性が異なります。
本記事では、最新のWSAVA(世界小動物獣医師会)ガイドラインに基づき、混合ワクチンの種類ごとの詳細や、飼い主として知っておきたい情報をわかりやすく解説します。
目次
犬の混合ワクチンとは?
混合ワクチンは、1回の接種で複数の感染症を予防できる便利なワクチンです。
WSAVAは犬のワクチンを以下のように分類しています:
- コアワクチン:すべての犬が接種すべきワクチン
- 犬ジステンパーウイルス感染症(CDV):高い致死率を持つ感染症で、呼吸器や消化器、神経系に影響を及ぼします。
- 犬アデノウイルス1型感染症(CAV-1):肝臓に影響を与える伝染性肝炎の原因となる病原体。
- 犬パルボウイルス感染症(CPV):激しい嘔吐や下痢を引き起こし、特に子犬では致命的。
- ノンコアワクチン:地域や個体の生活環境に応じて接種を検討すべきワクチン
- 犬コロナウイルス感染症:消化管に感染し、嘔吐や下痢を引き起こします。
- 犬レプトスピラ症:人にも感染する人獣共通感染症で、肝臓や腎臓に影響を与えます。
日本でよく接種される混合ワクチンの種類
日本では、以下の混合ワクチンが一般的に使用されています。それぞれのワクチンで予防できる感染症をご紹介します:
5種混合ワクチン
- 犬ジステンパーウイルス感染症(CDV)
- 犬パルボウイルス感染症(CPV)
- 犬アデノウイルス1型感染症(CAV-1)
- 犬アデノウイルス2型感染症(CAV-2):主に呼吸器に影響。
- 犬パラインフルエンザウイルス感染症:咳やくしゃみなどの呼吸器症状を引き起こします。
6種混合ワクチン
5種混合ワクチンの内容に以下が追加されます:
- 犬コロナウイルス感染症:消化器系に影響を与え、嘔吐や下痢を引き起こします。
8種混合ワクチン
6種混合ワクチンの内容に以下が追加されます:
- 犬レプトスピラ症(イクテロヘモラジー型、カニコーラ型):肝臓や腎臓に深刻な影響を与えます。
10種混合ワクチン
8種混合ワクチンの内容に以下が追加されます:
- 犬レプトスピラ症(ポモナ型、グリッポチフォーザ型):レプトスピラ症の予防範囲をさらに拡大します。
5種 | 6種 | 8種 | 10種 | |
犬ジステンパーウイルス(CDV) | ● | ● | ● | ● |
犬パルボウイルス(CPV) | ● | ● | ● | ● |
犬アデノウイルス1型CAV-1) | ● | ● | ● | ● |
犬アデノウイルス2型(CAV-2) | ● | ● | ● | ● |
犬パラインフルエンザウイルス | ● | ● | ● | ● |
犬コロナウイルス | ● | ● | ● | |
犬レプトスピラ症 (イクテロヘモラジー型) | ● | ● | ||
犬レプトスピラ症 (カニコーラ型) | ● | ● | ||
犬レプトスピラ症 (グリッポチフォーザ型) | ● | |||
犬レプトスピラ症 (ポモナ型) | ● |
ワクチン接種のスケジュール
WSAVAのガイドラインに基づく、一般的な接種スケジュールは以下の通りです。
- 子犬の場合:
- 生後6~8週齢で初回接種を開始。
- その後、2~4週間間隔で16週齢以上まで追加接種。
- よくあるパターン
生後8週齢で初回接種、1ヶ月後に2回目、もう1ヶ月後に3回目。
- 成犬の場合:
- 3回目接種後、1年後に追加接種。
- それからは1年に1回の頻度で接種されることが多い。
- WSAVAのガイドラインでは
1年後の追加接種後に3年ごとにブースター接種を行うことが推奨されています。
ただし、地域の感染状況や犬の生活環境、健康状態によって適切なスケジュールは異なるため、必ず獣医師と相談してください。
ワクチン接種の注意点
- ワクチン副反応について: ワクチン接種後には、以下の2種類の副反応が見られることがあります:
- アレルギー反応:皮膚のかゆみや腫れ、発疹、嘔吐などの症状が現れる場合があります。
- アナフィラキシー反応:呼吸困難や血圧低下などの重篤な反応で、非常に稀ですが緊急対応が必要です。これらの症状が見られた場合は、すぐに獣医師に相談してください。
抗体検査の活用
抗体検査は血液を外部検査機関に提出することで調べることができます。
- 検査費用:ワクチン接種と同等かやや高いぐらいの金額が目安です。
- 使い方:日本では年に1回のワクチン接種が主流ですが、できる限りワクチンを減らしたい方は、毎年抗体検査を行い、抗体価が低下している場合にのみワクチンを接種する方法も検討できます。
生活環境に応じたワクチンの選び方
犬の生活環境や活動範囲に応じて、最適なワクチンを選ぶことが重要です。
- 室内飼育の場合:
- 5種混合ワクチン(コアワクチン+パラインフルエンザ)が推奨されます。
- 消化器系の病気予防を重視する場合:
- 6種混合ワクチン(5種+コロナウイルス)が適しています。
- アウトドア活動が多い場合:
- 7種以上の混合ワクチン(レプトスピラ症を含む)を検討してください。
- レプトスピラはネズミが媒介する細菌で、尿中に多く含まれます。川遊びやキャンプ、山遊びが好きな犬は特に接種が推奨されます。
おすすめの関連商品
ワクチン接種後の健康管理に役立つ商品をご紹介します:
- ペット用体温計:体温の変化を簡単に確認できる便利アイテム。
ワクチン接種後の副反応として発熱が見られることがあります。
ペット用体温計があれば、愛犬の体調を簡単にチェックでき、
異常があれば早めに対応可能です。
柔らかい先端で使いやすく、短時間で正確に測定できます。
ワクチン接種時だけでなく、普段の健康管理にも便利な必需品です。
まとめ
犬の混合ワクチンは、愛犬の健康と安全を守るために欠かせないものです。生活環境や感染リスクを考慮し、適切な種類を選ぶことが大切です。
また、ワクチン接種後は愛犬の体調をしっかり観察し、健康維持に努めましょう。
定期的な健康診断と併せて、愛犬との幸せな生活を支える基盤を整えることができます。
参考リンク
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