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犬の血尿と膀胱がん:緑黄色野菜が与えるメリットとは

オタ福

血尿や頻尿といった症状が見られると、飼い主として心配になりますよね。
特に血尿が出る病気の一つである膀胱がん(移行上皮癌、尿路上皮癌)は犬の尿路系の深刻な病気の一つであり、早期発見と予防が健康を守るカギとなります。

とある研究(参考文献参照)によれば、緑黄色野菜を日常の食事に取り入れることで膀胱がんの発生リスクを大幅に減らせる可能性があることが分かっています。
本記事では、膀胱がんの基礎知識、緑黄色野菜の具体的な効果、そして実践しやすい与え方を解説します。


膀胱がんとは?その症状と原因を解説

膀胱がんは、膀胱の粘膜から発生する悪性腫瘍です。
非常に悪性度が高く、リンパ節転移や遠隔転移を引き起こすことが多い腫瘍です。

以下の症状が見られる場合、膀胱がんの可能性を疑う必要があります:

  • 血尿:尿が赤みを帯びたり、ピンク色になる
  • 頻尿:頻繁にトイレに行くが、排尿量が少ない
  • 尿の臭いや濁り:通常と違う尿の色や匂いが見られる
  • 排尿困難:トイレの際に痛みを感じたり、苦しそうな様子を見せる

膀胱がんのリスクを高める要因として、以下が挙げられます:

  • 特定の犬種:スコティッシュテリアやシェルティなど
  • 環境要因:除草剤や化学物質への暴露

緑黄色野菜が膀胱がん予防に与えるメリット

アメリカのパデュー大学(2005年)の研究によれば、週に3回以上緑黄色野菜を摂取することで、犬の膀胱がんの発生リスクを大幅に減少させる可能性があることが分かりました。

  • 研究結果
    • 緑葉野菜を摂取した犬:膀胱がんリスクが0.1倍に減少
    • 黄橙色野菜を摂取した犬:リスクが0.3倍に減少
    • 総じて野菜を摂取した犬では、リスクが0.3倍に減少
  • なぜ効果があるのか?
    野菜に含まれる『フィトケミカル』と呼ばれる成分が、発がんリスクを低下させる働きをしているのではないかと考察されています。
  • フィトケミカルとは
    植物が捕食者や病原体から身を守るために合成している化合物のことで、
    その代表例として、
    カロテノイド、アスコルビン酸、トコフェロール、セレン、食物繊維、ジチオルチオン、イソチオシアネート、インドール、フェノール、プロテアーゼ阻害剤、アリウム化合物、植物ステロール、リモネンなどが挙げられます。

    植物に含まれるこういった化合物を摂取することで、ガンの発生リスクを下げられるのではないかという結論を出しています。

ちなみに、野菜を食べる頻度ですが、量が多いほど発生リスクが低下したという報告があります。
だからと言って、完全にベジタリアンな生活をした方が良いと言っているわけではありません。
何事もほどほどが一番であり、私は野菜はドックフードに乗せるトッピング程度の量で十分であると考えています。

注意事項

この研究はスコティッシュテリアを対象にしたもので、他の犬種にも同様の効果があるかは未確定です。ただし、緑黄色野菜の抗酸化作用が健康に寄与することは広く認められています。

また、犬に禁忌や野菜も存在するため、野菜を与える際はかかりつけ医に相談してから行うようにしてください。

緑黄色野菜はあくまで予防的なアプローチの一つであり、治療法ではありません。

日常の予防ケアの中でできることの一つであり、膀胱腫瘍を含め血尿に対する治療効果はありませんので、誤解のないようにお願いします。


飼い主が実践できる緑黄色野菜の与え方

おすすめの野菜

以下の野菜は、犬に安全で健康に役立つものです:

  • ニンジン:甘みがあり、犬も喜んで食べる。
  • かぼちゃ:繊維質が豊富で消化をサポート。
  • ブロッコリー:抗酸化作用が高い。茎の硬い部分は避ける。
  • レタス・キャベツ:水分補給にも役立つ軽い野菜。

与えるポイント

  1. 調理方法:茹でる、蒸すなどして火を通してから与えて下さい。
  2. 量の目安:体重5kgの犬で、ティースプーン1杯程度の少量から始めるようにしてください。
  3. 注意点
    ・玉ねぎ、ネギ、ニラなど有害な野菜は絶対に避けてください。
    ・吐く、便が緩くなるなど異変があれば中止してください

血尿で動物病院に行くべき時

血尿がある場合、膀胱がん以外にも膀胱炎や尿路結石などの可能性があります。
次のような場合は、すぐに動物病院で診察を受けてください:

  • 血尿が数日続いている。
  • 頻尿や排尿困難の症状が見られる。
  • 愛犬が元気をなくしている、食欲が落ちている。

尿検査の重要性

血尿や頻尿が続いている時は動物病院で尿検査を受けられることをお勧めします。
尿検査では、尿の濃さや色、尿中に含まれる細胞や結晶、細菌など得られる情報がたくさんあります。

血尿や頻尿で受診される際は尿を持参して頂けると検査がスムーズにできます。
尿を持参する際にお勧めの便利グッズをいくつかご紹介します。

ウロキャッチャー

  • 特徴:
    吸尿性にすぐれた特殊スポンジを使用したペット専用の採尿器
    地面にした尿を吸い込ませて、袋に入れるだけで簡単に尿を持っていけます。
  • おすすめポイント:
    動物病院向けの手術器具などを販売している『津川洋行』から出ている商品で、現場の獣医師からも定評があります。

ニャンプリング

  • 特徴:
    ポイント①:不純物の少ないクリアな尿が採取できる
    ポイント②:ペタンと座っておしっこ派も簡単に採尿できる
    ポイント③一目で、尿色・尿量がわかるので便利
    ※公式 HPより抜粋
  • おすすめポイント:
    床や地面についた尿では不純物が混じり、正確な検査の妨げとなります。
    こちらの商品は排尿時に下に忍ばせることで、直接尿をキャッチするため、不純物の少ない尿を採取することができます。

まとめ:緑黄色野菜で愛犬の健康を守ろう

犬の血尿や膀胱がんは心配な症状ですが、飼い主が日常生活でできる予防策を取ることでリスクを減少させることが可能です。
緑黄色野菜を食事に取り入れることで、膀胱がんだけでなく、全体的な健康維持にも役立ちます。
愛犬の健康を守るために、ぜひ今日から始めてみてください!
また個別相談も行っておりますので、こちらをご利用頂ければと思います。

参考文献

Raghavan M, et al. Evaluation of the effect of dietary vegetable consumption on reducing risk of transitional cell carcinoma of the urinary bladder in Scottish Terriers. J Am Vet Med Assoc. 2005 Jul 1;227(1):94-100.

犬の膀胱がんに関する詳しい解説はこちら

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