はじめに
今回は犬の体にできたシコリについてのお話です。
では今回の目次です。
ワンちゃんを撫でていると、体にイボのようなしこりを見つけたことはありませんか?
何かできものがあるなと思っているけど、別に気にしてないから病院に連れていくのを後回しにしてしまう。
あるいは連れて行っても、「これぐらいなら問題ないよ」と獣医に言われ、本当にこのままでいいのかな〜と心配になってはいませんか?
今回はそんな悩みを解決する内容となっています。
では早速やっていきましょう。
お家で飼い主さんができること
シコリの中には放っておいてもほとんど問題にならないものから、すぐに対処しないといけないシコリがあります。
これらを判断する方法はいくつかありますが、ここではその中でもお家で飼い主さんが出来ることをご紹介します。
大きさをこまめに計測する
大きくなるスピードは良性、悪性を判断する一つの指標となります。
大きくなるスピードが速い場合は要注意です。
よくあるイボや脂肪腫という脂肪の塊などはそんなに急速に大きくなりませんが、悪性腫瘍の場合は大きくなるのが早いです。
大きくなってきたかを早く認識するためにも1週間おきに大きさを定規で測っておきましょう。
日によって大きさに変化がないか
大きくなったり小さくなったりを繰り返すようなしこりも要注意です。
このようなシコリは肥満細胞腫という悪性腫瘍で見られる動きです。
肥満細胞腫というのは細胞の中に花粉症などでよく耳にしたことがあると思いますが、ヒスタミンという物質をたくさん含んでいます。
このヒスタミンのせいで一時的に腫れて大きく見えたり、気がつけば小さく萎んだりします。
大きくなったり、萎んだりする場合は肥満細胞腫が怪しいので注意しましょう。
触り心地に変化がないかを見る
- 今までプニプニしていたのに急に硬くなってきた
- なんか熱を帯びているような気がする
などなど、
こういった触り心地の変化が見られた場合は良性のものが悪性に変わったサインです。
サイズを測る時でいいので週に1回ぐらいは触り心地に変化がないかを確認しておきましょう。
触る時の注意点
あまりグリグリやるとシコリが弾けてしまって血が出たり、感染を起こして膿んでしまうことがあるので、何度も触ったり、強く摘んだりはせず、優しく触って下さい。
シコリは見た目だけじゃ分からない
ここからは動物病院で行う検査について説明します。
シコリは見た目だけで良いものと悪いものを区別することはできません。
ではどういったシコリだと注意すべきで、どういったものだと様子を見て良いのでしょうか?
治療するべきかどうかを調べるためにはシコリを針で刺したり、一部を切り取って、それを顕微鏡で調べる必要があります。
悪いものであれば細胞の形が崩れていたり、分裂が盛んな様子が確認できます。
これらの検査は針を指すものを細胞診と呼び、一部切り取ってくるものを組織診と言います。
細胞診、組織診の違い
細胞診はしこりの一部を採取して、細胞の形を見る検査です。
一方で、
組織診はしこりを丸ごと採取して、細胞の形や並び方を見る検査です。
これらの二つのメリット・デメリットはいっぱいあるんですけれども、
テーマと話が外れてしまうので、今回は割愛します。
イメージとしては
細胞診は無麻酔で痛みが少なくできるけど、精度が低い
組織診は痛みがあるので麻酔が必要だけど、精度が高い
ざっくり言うとこんな感じです。
ハリーポッターに例えると、、
もう少し身近にするためにハリーポッターに例えたいと思います。
細胞診と病理検査はハリーポッターを1話から最終話まで見た人と、アズカバンの囚人しか見てない人ぐらい違います。
スネイプ先生がいい人なのか悪い人なのかを判断する時に全話見ている人とアズカバンの囚人しか見てない人では感想は変わってくると思います。
見てない人
怖い口調やしなんか悪そうやけどいい人なんか悪い人なんかわからんな〜
絶対良い人!!
ヴォルデモートみたいな明らかな悪役を除いては良い人なのか悪い人なのか、映画の一部だけを見て判断するのは難しいでしょう。
細胞診も一緒で、病変の一部しか見ることができません。
そのため、院内でパッと確認することはできるのですが、診断精度は劣ります。
明らかに悪性のものは『悪性』と診断されますが、
細胞診は『良性っぽいけど悪性の可能性もあるよ』みたいな中途半端な結果になりがちです。
組織診は映画を全部見た人と同じなので、良性なのか悪性なのかがはっきりと分かります。しかし、全部見ている人なので、診断までに1週間ほど日数もかかります。
こういったことから、細胞診と組織診の良いところ、悪いところをうまく使い分けていく必要があります。
では次は悪いシコリだった場合にどう対処するべきなのかをお話しします。
悪いシコリの対処法
そのがんに合わせた対処が必要
悪いシコリの対処法って結構難しいです。
というのも、『悪い』と言っても『どう悪いのか』によって対応が変わってくるからです。
例えば、
- どんどん奥へ染み込むように増殖するパターン
- 見た目は小さいのにあちこちに転移するパターン
- すでに他に原発巣があり、皮膚のシコリは転移巣であるパターン
これらは全て悪いがんですが、対処法は全く違うのはわかりますよね?
染み込むようなものなら、外科的に取らなきゃ行けないですし、
あちこちに転移するもので有れば、抗がん剤が適応されます。
内臓に原発巣があるなら、場合によってはお腹を開いて原発巣を取る手術をしたり、内科的にお薬で管理する場合もあります。
がんは全部が全部、同じ動き方をするんじゃなくて、タイプによって増殖の仕方が異なります。
なので、そのがんに合わせた対策を取る必要があります。
がんのタイプを調べるために細胞診や組織診を行い、転移が起こっているかを調べるためにレントゲンや超音波、C T検査などの画像診断を組み合わせていきます。
最後に
では本日のまとめです。
- お家でできることはサイズ測定、触り心地の変化のチェック
- 治療すべきシコリは細胞診または組織診で見分ける
一長一短あるので、適切なタイミングで必要な検査を実施 - 悪いシコリはものによって対処法が異なる
Youtubeでは同じような内容をイラスト付きで分かりやすく解説しています。
よければ、Youtubeの方もご視聴下さい。