はじめに
今回は「犬の外耳炎の原因と予防策」についてお話ししていきます。
愛犬が耳を掻いている様子を見たことはありませんか?
外耳炎は犬にとって非常に不快で、場合によっては痛みを伴うことがあります。
特に梅雨の時期から夏場にかけては湿度が上がるため、より一層耳のトラブルが起きやすくなります。
この記事では、外耳炎の原因と予防策について詳しく解説し、皆さんが日常生活でできる対策についてもご紹介します。
外耳炎とは?
外耳炎とは、耳介や外耳道に起こる炎症のことを言います。
犬の場合、
・耳が痒くなる
・赤く腫れる
・耳から不快な臭いがする
などの症状が認められることがあります。
重症になると、耳から耳漏(膿)が出ることもあります。
これらの症状が見られた場合は、早めにかかりつけの先生に相談しましょう。
外耳炎は特に耳が垂れている犬種や毛が多い犬種に多く見られます。
例えば、コッカースパニエルやトイ・プードル、シーズーやミニチュア・ダックスフンドなどが外耳炎にかかりやすいです。
これらの犬種は、耳の中が蒸れやすく、細菌やマラセチアと呼ばれる酵母菌が繁殖しやすい環境が整っています。
外耳炎の原因
犬の外耳炎にはいくつかの原因があります。
今回は主要な原因として、以下の5つをご紹介します。
1. 細菌や酵母菌の増殖
犬の耳は温かく湿った環境で、細菌や酵母菌が増殖しやすい場所です。
特に耳の内部が常に湿っていると、これらの微生物が増えやすくなります。
シャンプー後や水遊び後は耳をしっかり乾かさないと、外耳炎の原因になります。
特に夏場にプールで遊んだ後は、しっかり耳を乾かすことが大切です。
2. アトピーと食物アレルギー
アトピーや食物アレルギーも外耳炎の原因になります。
アレルギー反応が起こると、耳の中が炎症を起こし、細菌や酵母の感染を引き起こしやすくなります。
アトピーの子は耳が分厚く腫れることが多く、場合によっては外耳炎だけでなく、手足を舐めて禿げてしまったり、お腹が真っ赤に腫れてしまうことがあります。
食物アレルギーの子は耳以外にも口周りや目の周り、お尻周りに痒みが出ることがあります。
便が緩くなることもあるので、食事の内容を見直すことが重要です。
↓犬アトピー性皮膚炎に関する動画↓
↓食物アレルギーに関する動画↓
3. 解剖学的な構造
特定の犬種では、耳の解剖学的な構造が外耳炎のリスクを高めます。
例えば、コッカースパニエルやトイ・プードル、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどは耳が垂れているため、耳の中が蒸れやすく、細菌や酵母が繁殖しやすいです。
また、パグやフレンチ・ブルドッグなどは耳道が狭く、形状もやや湾曲しているため、外耳炎にかかりやすいです。
4. 寄生虫の感染
耳ダニなどの寄生虫も外耳炎の原因になります。
耳ダニは耳の中に寄生し、強烈な痒みを引き起こします。
耳垢の中に黒い汚れが混じっている場合は耳ダニの可能性が高いです。
多頭飼育崩壊の現場から保護された犬や、予防薬を使用していない犬では耳ダニの感染リスクが高まります。
5. その他の原因
その他の原因としては、異物、内分泌疾患、脂漏症、腫瘍などがあります。
異物
耳の中に毛や草むらからの異物が詰まっていると、耳道粘膜を刺激し、炎症を引き起こします。
内分泌疾患
また、ホルモンの異常も外耳炎の原因になります。
甲状腺機能低下症やクッシング症候群などの内分泌疾患は皮脂の分泌を増加させ、免疫力を低下させるため、外耳炎のリスクを高めます。
脂漏症
脂漏症は、文字通り皮脂がたくさん出てしまう病気のことを言います。
ホルモンの異常で起こることもありますし、体質的にベトベトした皮膚を持っている犬種もいます。
耳の腫瘍
耳の中に発生する腫瘍は耳垢腺癌やアポクリン腺癌という悪性腫瘍が多く、場合によっては耳道ごと切除しなければいけないケースもあります。
外耳炎の治療をしているのに永遠に治らないとか、日に日に悪化してくるような様子があれば、がんの可能性もあるので、早めに精密検査をしてもらいましょう。
↓脂漏症に関する動画↓
悪化を防ぐ予防策
外耳炎を予防するためには、いくつかの基本的なケアと対策があります。
耳を乾燥させる
水遊びやシャンプー後は、必ず耳をしっかりと乾かしましょう。
柔らかいタオルやガーゼを使って、耳の中の水分を優しく拭き取ります。
この時、耳の奥までゴシゴシ擦ってしまうと、耳の粘膜が傷ついてしまい、痒みを引き起こす原因となるため、注意してください。
耳の中を乾燥状態に保つことで、細菌や酵母の繁殖を防ぐことができます。
水遊びが好きな子やシャンプー後の子は耳を毎回しっかり乾かすことで、外耳炎の予防になります。
具体的なシャンプーのやり方については、過去の動画も参考にしてみてください。
↓脂漏症に関する動画↓
アレルギー対策
アレルギーが原因の場合は、獣医師に相談して適切なアレルギー対策を行いましょう。
アトピーが原因だと思われる場合は、環境中のアレルゲンに過敏に反応してしまっていることが痒みの原因となっているので、過剰な免疫を抑えるためにお薬を服用したり、ハウスダストを軽減させるために定期的な換気や空気清浄機の設置を行いましょう。
食物アレルギーが疑われる子には、アレルギー食に変えることがおすすめです。
特定の食材にアレルギーがあることが分かった場合は、その食材を含まない食事を提供することで、外耳炎の発症を防ぐことができます。
寄生虫予防
寄生虫を予防するためには、月に一回の駆虫薬の使用が効果的です。
耳ダニなどの寄生虫が疑われる場合は、早めに獣医師に相談し、適切な治療を受けてください。
多頭飼育崩壊から保護された犬を迎える際は、必ず予防関係をしっかりと行いましょう。
定期的に駆虫薬を使用することで、寄生虫の感染を防ぐことができます。
定期的な耳の掃除
定期的に耳の中をチェックし、清潔に保つことが重要です。
耳掃除を定期的に行うことで、耳垢の蓄積を防ぎ、細菌や酵母の繁殖を抑えることができます。
しかし、犬の耳は非常に繊細で、力加減を誤るとすぐに耳道が傷ついてしまいます。
耳掃除の際には、耳を傷つけないように優しく行うことが大切です。
特に綿棒の使用は避けたほうが良いでしょう。
綿棒を使うと細かい汚れや奥の方まで掃除ができるのですが、見えないところまで入ってしまうので、知らず知らずのうちに耳道を傷つけてしまったり、鼓膜を破ってしまうことがあります。
お家で耳掃除をするときは、綿棒は使わずに指が入る範囲を優しく拭き取ってあげるのが良いでしょう。
奥の方の汚れが気になる場合は、動物病院でやってもらうようにしましょう。
動物病院では耳鏡を使用することで、耳の内部を詳細に観察し、異常を早期に発見することができます。
耳垢だけでなく、異物の存在や腫瘍も発見することができるので、耳の治りが悪く、悪臭がひどくなっている場合は早めに受診されることをお勧めします。
最後に
外耳炎は日常的なケアと定期的なチェックを行うことで早期に発見し、適切に対処することで防ぐことができます。
日常のケアをしっかりしているのに、外耳炎が治らない場合は何らかの異常が起きている可能性があるので、早めにかかりつけの先生に相談しましょう。
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