はじめに
今回のテーマはこちら「絞った方がいいの??犬の肛門腺」についてのお話です。
皆さんは犬の肛門腺についてどれぐらい知っていますでしょうか?
「なんか定期的に絞った方がいい」という程度の認識で、
具体的に肛門腺がどういったものなのかとか、どれぐらいの頻度で絞った方がいいのか?
そもそも本当に絞る必要があるのか?
そういった細かい内容を解説していく動画となっています。
そもそも肛門腺とは?
そもそも肛門腺とは?というお話ですが、
肛門腺は犬の肛門の左右にあり、そこから分泌液が排出されています。
犬同士でお尻を嗅ぎ合うのは、この肛門腺の匂いを嗅いで、相手の情報をキャッチしています。
肛門腺で作られた分泌液は肛門の近くにある肛門嚢に溜まって、通常は便と一緒に体外に排出されるため、溜まっていなければ特に何か絞ってあげたりする必要はありません。
しかし、病気や老化などの原因でうまく排出できずに溜まってしまうことがあります。
肛門腺の分泌液が溜まってくると、破裂したり、感染が起こることがあります。
肛門腺に関する病気
肛門嚢炎
肛門腺から作られた分泌液は肛門嚢という袋に溜まってきます。
「肛門腺を絞る」というのは正しくはこの肛門嚢という袋を絞っています。
この袋の中に分泌液が溜まってくると、そこに細菌が入り込み膿んでしまったり、袋自体が破裂することがあります。
こういった雑菌が入り、膿が溜まっている状態を肛門嚢炎と言います。
この写真は肛門嚢炎の犬の写真です。
肛門の左が赤くなっていますが、 炎症がひどくなるとこんな感じに見えることがあります。
肛門周囲瘻
また、溜まった膿は行き場がなくなって破裂したり、瘻管と呼ばれるトンネルを作って、
皮膚から直接排出されます。
こういったトンネルが作られた状態を肛門周囲瘻(ろう)と呼びます。
これらの病気の対処法
肛門嚢炎や肛門周囲瘻ができてしまった場合は、感染巣を取り除くために洗浄して消毒したり、抗生剤の投与が行われます。
多くの場合はこういった対応で治ってくることがありますが、場合によっては全身麻酔をかけて、肛門嚢を切開し、洗浄する必要もあります。
自力で肛門腺の分泌液を排出できる子であれば、特に処置は必要ないですが、
体質的に溜まりやすい子というのは、肛門嚢炎や肛門嚢破裂を予防するために定期的に絞り出してあげる必要があります。
肛門腺を絞る頻度
肛門腺を絞る頻度は犬の年齢やその子の体質によって変わってきます。
高齢になってくると、だんだんと分泌液が溜まりやすくなってしまうことが多く、
絞る回数を増やしてあげる必要があります。
目安としては、
子犬の頃から成年になったくらいの時期は1ヶ月に1回程度、
シニア犬(10歳ぐらい)になったら2週間に1回程度です。
あくまで目安なんで、肛門嚢を触ってみて溜まってなければ、特に絞る必要ありません。
また、散歩中とかでお尻の擦り歩きをするようになったら肛門嚢で炎症が起こっている可能性があります。
炎症が起こると、痛痒くなるので、地面にお尻を擦り付けたりします。
そういった場合は肛門腺を絞ってあげるか、念のため動物病院で様子を見てもらいましょう。
肛門腺の絞り方
絞るのは結構コツが要ります。
肛門腺は肛門の4時と8時の方向に1対存在しています。
そして、分泌液は肛門嚢から導管という管を通って肛門へ排出されます。
そのため、指の構え方としては人差し指と親指で肛門の4時8時の方向を下から持ち上げ、内側の斜め上に向かって絞り上げるイメージです。
ただ、説明するのは簡単なんですが、実際にやってみると意外と難しいので、
絞り方がわからないという方はトリマーさんや獣医に相談してみると良いでしょう。
やり方を教えてもらっても、結構お家でやると犬が動いてしまってやりづらかったり、
分泌液の匂いが服とか壁についてなかなか落ちなかったりして不都合が多いので、
そういった場合はトリミングの際にお願いしたり、健康管理を兼ねて動物病院で定期的に絞ってもらうと良いと思います。
肛門腺を絞るときの注意点
無理にグリグリしない
肛門腺を絞るときの注意点としては肛門腺の分泌液を全て押し出そうとしてはいけません。
肛門嚢の分泌液を全て出し切る必要はなく、溜まりすぎないようにするのが目的です。
少ししか出ないからといって、グリグリ何回もやってしまうと、かえって炎症が起こりやすくなります。
悪性腫瘍の可能性もある
あと、注意しないといけないのは『肛門嚢腺癌』です。
肛門嚢腺癌というのは肛門嚢の悪性腫瘍のことで、
高齢になって急に肛門嚢が大きく張ってきたとかであれば、肛門嚢腺癌の可能性もあるため早めに動物病院を受診してください。
最後に
では、今回のまとめです。
- 肛門腺は肛門の左右に存在し、
犬同士の情報交換に必要な分泌液を作る - 分泌液が溜まってくると感染や破裂のリスクが高まる
- 絞る頻度は年齢やその子の体質によって異なる
- 絞り方にはコツがあるため、トリマーや獣医に要相談
- 肛門腺は完璧に絞り出す必要はない
高齢で急に大きくなった場合はガンの可能性がある
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