はじめに
今回のテーマは『お腹の張り』についてです。
なんかお腹がポテっとしてきたとか、
こんなに太鼓腹みたいになってたかなとか、
そういったことを感じたことはないでしょうか?
それもしかすると、大変な病気になっているかもしれません。
今回はそんなお腹の張りについてお話ししていきたいと思います。
お腹の張る5つの原因
お腹の張りを感じた場合に考えなければいけないことは大きく分けて5つです。
- お腹の内臓器が腫れているパターン
- お腹に液体が溜まっているパターン
- 腸に何かが詰まっているパターン
- ガスが溜まっているパターン
- 腹筋が減って弛んでいるパターン
これらに関して一つ一つ簡単にお話しています。
①お腹の内臓器が腫れているパターン
まず最初にやること
まず最初に絶対やっておくべきことは『肥満』の除外です。
肥満はもちろん病気でも起こることがありますが、明らかに通常の摂取カロリーを超えて食べている場合は単純に太っているだけの可能性もあります。
反対に全然食べていないのに、太ってきた場合は甲状腺などの病気の場合があります。
まず肥満を除外するために、食べ過ぎていないかなというところは注意して見てみて下さい。
内臓器が腫れる原因
肥満が除外できた後は内臓が腫れる原因というのは肝臓や脾臓、腎臓、前立腺といった臓器が大きくなっている場合や、
お腹の中にガンや炎症などでシコリができている場合の2つが考えられます。
これらは各臓器が大きくなる原因はホルモンの異常、炎症、代償性肥大などなど無数にあり話がとても複雑になりますので、ここでは割愛させてもらいます。
肝臓が悪い時
肝臓であれば、歯肉の色が黄色くないかとか吐いたり食欲が減ったり、反対にめっちゃ食べたりします。
脾臓が悪い時
脾臓であれば、あまりこれといった症状を見せるとはありませんが、なんか元気ないとか、熱っぽい、歯肉の色が青白いとかそういったものが見られることがあります。
腎臓や前立腺が悪い時
腎臓や前立腺であれば、血尿が出たり、尿切れが悪かったり、背中の腰あたりにポコっとしたシコリが触れることがあります。
②お腹に液体が溜まっているパターン
お腹に液体が溜まっている時その液体のことを腹水と言います。
腹水は水っぽいサラサラしたものから細胞がたくさん混じったドロッとしたものがあり、
そのサラサラ具合によって3つのタイプに分けられます。
そのほかにも腹水は出てきた場所の由来によっても血液、乳び、胆汁、尿の4つに分けられます。
内臓にシコリがあってそれが破けたせいで、お腹に血が溜まってしまうことがありますし、ガンや外傷によってリンパ管が傷つくと、乳糜と呼ばれるリンパ液がお腹に溜まることがあります。
同様に胆嚢が破裂すると胆汁が、膀胱が破裂すると尿がお腹の中に溜まってきます。こういったものをそれぞれどのタイプの腹水なのかを仕分けて原因を追求していきます。
なので、
腹水が溜まっているときは腹水を一部採取して、調べる検査がとても大切になります。
③腸に何かが詰まっているパターン
次は腸に何かが詰まっている時についてのお話です。
腸に何かが詰まっている時もお腹が張って見えます。
これは割と想像しやすいと思いますが、
例えば、単純に食べ過ぎた場合もそうですし、異物を誤食した場合や便秘の時にお腹が張って見えることがあります。
異物による閉塞
異物の場合は、腸が異物によって塞がってしまいます。
腸というのは粘膜から液体が出てて、腸内細菌によってガスが作られています。
通常、腸は上から下へと食べ物やうんちを運搬することで、液体やガスを吸収したり、うんちと一緒に排出しています。
しかし、異物のよって腸が詰まってしまうと、ガスや液体が流れなくなり、腸がパンパンに張ってきます。
猫の巨大結腸症
その他に猫の巨大結腸症という病気ではうんちが大量に溜まって強烈な便秘を引き起こすことがあります。
これは手術が必要になる病気で、薬でのコントロールは難しいです。
便秘の時は気張った拍子に吐くことがあるので、猫でうんちの回数が少なく、トイレ中やその直後に吐いたりしていないかは注意して見ておく必要があります。
④ガスが溜まっているパターン
胃捻転・胃拡張症候群
ガスが溜まる時に最も注意するべきなのが大型犬です。
大型犬で多いのが胃捻転・胃拡張症候群と言って、胃がねじれてしまって何回も吐いたり、よだれがすごく出たりし、ぐったりする病気があります。
これは処置が遅れると亡くなってしまう病気なので、緊急疾患として知られています。
大きい犬を飼っている方で、急にお腹が張って、気持ち悪そうに何回も吐いている場合は急いで病院へ連れていきましょう。
消化管穿孔
胃捻転以外にもガスがお腹の中に溜まる時があってはそれは腸に穴が空いた時に起こります。
腸ではオナラが出るように、常に腸内細菌によってガスが作られています。
腸に穴が開くとそこからお腹の中にガスが漏れ出し、お腹が張ったように見えることがあります。こちらも置いておくと命に関わる状態なので、注意が必要です。
誤食癖がある子や腸のガンに対して抗がん剤治療を行っている子とかは腸穿孔のリスクが高いので注意しましょう。
⑤腹筋が減って弛んでいるパターン
最後にお腹が弛んでいる時です。
これは副腎皮質機能亢進症の子やアトピーなどでステロイドのお薬を長期にわたって飲んでいる子に発症が多いものとなります。
腹筋がホルモンの影響で弛んでしまうので、お腹が特に張っているわけではないのに太鼓腹のようにボテッと膨らんで見えます。
こういった症状はお水を飲む量が増えたり、抜け毛が目立つようになったりと、他の症状も併発することがあるので、そこを注意してみてみると良いでしょう。
最後に
では、まとめになります。
- お腹が張っていると感じた時はまず肥満を除外する
- お腹に液体が溜まった時は腹水を調べて原因を探す
- 腸にモノが詰まるとガスや液体が溜まってくる
- 大型犬でお腹が張っているときは緊急事態
- ホルモンの影響で腹筋が弱ると、お腹が張って見える
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