はじめに
いつもと同じ時間に同じ量をあげているのに残すようになったりとか、食欲が落ちているなと感じた時、心配ですよね。
性格による差はありますが、基本的に犬はご飯を食べるのが大好きです。
今回はそんな『犬の食欲不振の理由と対処法』についてのお話です。
様子を見ても良い場合
犬がご飯を食べないとき、放っておいていい場合とそうではない場合があります。
生き物がご飯を食べなくなるというのはおかしいので、病気が隠れていることがほとんどですが、例外的に放っておいてもいい場合もあります。
様子を見ても良い場合
- 元気がある
- ご飯を食べない以外の問題がない
- 明らかに好き嫌いをしている
こういった場合は3~4日の数日ぐらいであれば様子を見ていても良いです。
対策としては、
好き嫌いしている可能性があるので、チュールのようなおやつを混ぜてあげたり、
少し電子レンジで温めて、フードの匂いが立つ様にしたり、
甘えているだけのこともあるので、褒めながら手であげたりすると食べてくれることがあります。
こういった場合はお腹が空くといつか食べてくれるはずなので、様子を見ていても大丈夫です。
様子を見てはダメな場合
一方で、放っておいてはいけない場合もあります。
それは食べない以外の症状が出ている時です。
具体的には
- しんどそう、散歩に行きたがらない
- 吐く、下痢する、尿量が増える
- 明らかに体重が落ちている気がする
などです。
こういった場合は何らかの病気が隠れている可能性があります。
次は具体的な対策方法についてお話しします。
食欲不振を起こす病気
最も理想的なのは動物病院に連れて行くということです。
食欲が落ちている原因を調べてもらい、それに応じた治療が必要となります。
食欲不振の原因は正直なところ病気であれば何でも起こり得るのですが、
よくあるのが、急性膵炎、腎臓病、がんです。
急性膵炎
急性膵炎というのは膵臓という消化酵素やインスリンを作っている臓器が炎症を起こす病気です。
急性膵炎の場合、症状と血液検査と超音波検査で診断を進めていきます。
症状は吐いたり、下痢をしたり、お腹を触ると痛そうにするというような症状が見られます。
血液検査ではCRPという炎症マーカーが上がっていたり、膵特異的リパーゼ(cPL)という項目が上がっていて、
超音波検査で膵臓周囲の炎症や腸の動きが悪くなっている場合は膵炎の可能性が高くなってきます。
腎臓病
腎臓病の場合、症状、血液検査、尿検査で診断を進めることが多いです。
症状はおしっこの量が増えたり、お水を飲む量が増えたりします。
血液検査ではCreとBUNという腎臓マーカーの上昇が確認されます。
尿検査で最も注目すべきは尿比重といって、尿の濃さを見る指標です。
ご飯を食べていない時は軽い脱水状態になっていることがほとんどですが、
通常では脱水状態になると体の中にある水分を外に出したくないので、濃い尿が作られます。
しかし、腎臓病患者では尿を濃縮する力が弱っているので、食欲が落ちているにも関わらず、薄い尿が作られるのが特徴です。
こういった腎臓病の対策としては基本的に治る病気ではないので、
点滴をして水分を補ってあげたり、食欲増進剤や腎臓病フードを使っていきます。
がん
最後はがんの場合です。
がん患者では食欲の低下だけでなく、食の好みが変わることが多いです。
いつも食べていたご飯を食べなくなって、代わりにチュールや味が違うものを食べる様になった場合はガンが隠れている可能性があります。
シコリを作るタイプのガンであれば、超音波検査やレントゲン検査、場合によってはCT検査を用いて診断をつけて行くことが可能ですが、
中にはシコリを作らないタイプのガンもあります。
その代表例がリンパ腫です。
特にリンパ腫の中でも『消化器型の小細胞性リンパ腫』と呼ばれるものは画像診断で明らかな病変を形成することが少なく、内視鏡生検によって診断をつける必要があります。
具体的な対策方法
こういった病気が原因でご飯を食べない時はまずは原因に対して治療を進めることが原則ですが、栄養状態が非常に悪い場合は点滴や栄養療法を並行して行う必要があります。
輸液療法
点滴の目的は水分の補給です。
よく勘違いされていることがありますが、点滴には栄養は入っていません。
糖分が含まれておらず、カロリー0の液体で、脱水の改善とミネラルバランスの調整を行っております。
そのため、栄養を摂るために栄養療法が必要となります。
栄養療法
栄養療法というのは、強制給餌といって、流動食を口から直接入れる方法や食欲増進剤というお薬を使う方法があります。
その他にも長期にわたって食欲の改善が見込めない患者には栄養チューブを設置し、徹底した栄養管理を実施する場合もあります。
最後に
では今回のまとめになります。
- ご飯を食べない以外の症状がない時は数日様子見ても良い
- 他に症状がある時は病気の場合が多い
- 早めに病院へ連れていき、原因に対する治療を行うべき
- 多くの場合は膵炎、腎臓病、がん
- 原因治療と並行して、点滴や栄養療法を行うこともある
今回は『犬がご飯を食べない理由と対処法』について解説しました。
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